2019年大会レポート

新時代の小学生に挑戦の場を!
アイデアが光る
「embotアイデアコンテスト」最終選考会

2019年10月22日、東京銀座のD2Cホールにおいて、
GPリーグ主催による小学生を対象としたロボットプログラミングのコンテスト
「embotアイデアコンテスト最終選考会&表彰式」を開催しました。

embotアイデアコンテスト最終選考会&表彰式

全国からユニークなembot作品が集結!

「embotアイデアコンテスト」は、2020年にプログラミング教育必修化を迎える新時代の小学生たちに、アイデアを形にし、プログラミングのスキル活用をプラスした「デジタルなモノづくり」に挑戦するための目標や成果発表の場を設けることを目的とした、embotを活用した初のコンテストです。さらに、「embotアイデアコンテスト」では、「挑戦し表彰されることで小学生達に自信をつけてもらい、次の学びのステップへつなげてもらいたい」という思いを込めています。

コンテストのテーマは「いろんなカタチのembot」。ダンボール製の組み立てロボットと、サーボモーターやLEDを接続できるembotコアがセットになった「embot キッズプログラマーズ スターターキット」を使い、自由に工作した作品を7月から9月まで募集しました。その結果、家庭だけでなく、夏休みの自由研究やワークショップ、学校のクラブ活動、プログラミング教室などでembotの作品づくりに挑戦した全国の小学生から力作が集まりました。当初、最終選考会には10作品を選考する予定でしたが、予選の作品を見たembot研究開発スペシャリストチームからの強い希望により、16作品が選出されました。

最終選考会では、全国からファイナリストの小学生14チーム16人が参加しました。

10月22日の最終選考会では、全国からファイナリストの小学生14チーム16人が参加し、3分間の発表時間で自分の作品の工夫した点やアピールポイントなどをプレゼンし、デモを行いました。当日までに作品をさらにブラッシュアップし、朝から本番に向けての発表練習を何度も行った小学生達は、本番では堂々と自分達の作品を発表していました。

兄弟姉妹で参加するチームも多く、「一緒に遊べるように、2台のロボットを作ってみた」といったエピソードなども披露してくれました。

兄弟姉妹で参加するチームも多く、「一緒に遊べるように、2台のロボットを作ってみた」といったエピソードなども披露してくれました。

最優秀賞はスマホのセンサーを活用した作品

最終審査会では、embot研究開発スペシャリストチームのチームリーダーである額田氏をはじめ9人の審査員が、「アイデア力」「工作力」「表現力」の3つの観点から作品を審査し、最優秀賞、優秀賞のほか、初期embot開発メンバー賞、審査員特別賞を選考しました。

最優秀賞 「ビックリキングembot」

鈴木清人馬さん(大阪府・小学5年生)

結果、最優秀賞には鈴木清人馬(すずきせりま)さんの「ビックリキングembot」が選ばれました。「ビックリキングembot」は、「みんなをビックリさせて喜んでもらえるようなロボットにしたかった」ということで、スマホやタブレットが傾くと仕掛けが動作する仕組みになっています。「盗難防止」という課題解決を目指したことと、傾きセンサーを活用したプログラミングの工夫などが、高く評価されました。

「embotアイデアコンテスト」で最優秀賞を受賞した鈴木清人馬さん。

「embotアイデアコンテスト」で最優秀賞を受賞した鈴木清人馬さん。

発表では、2人の妹さんがかわいい泥棒に扮し、スマホを持ち出すとロボットが反応するというデモを披露してくれました。

↑発表では、2人の妹さんがかわいい泥棒に扮し、スマホを持ち出すとロボットが反応するというデモを披露してくれました。

歴史とパズルが好きという鈴木さんは小学2年生からプログラミング教室に通い、「Scratch」などでプログラミングに親しんできました。コンテストに挑戦するのは今回が初めてとのことでしたが、「優勝する自信は少しあったけれど、最後まで名前が呼ばれなかったので、ダメだと思っていました」と、うれしそうに話してくれました。

最優秀賞の受賞者は、今後embot研究開発スペシャリストチームとともに製品開発に挑戦し、その様子をプロクリエーター体験として「embot公式YouTubeチャンネル」で配信を行う予定です。

英語でプレゼンした小学3年生も登場

最優秀賞に続く「優秀賞」には、以下の4作品3名が選ばれました。

優秀賞 「みおぞう」

末永澪璃さん(東京都・小学4年生)

ゾウの鼻が動く「みおぞう」は、鼻だけでなくしっぽも動き、「ぞうさん」の音楽が流れます。ゾウロボットの隣には、かわいいリンゴの木も用意されており、世界観を感じられる作品に仕上がっていました。ロボットの鼻が上向きに動くのは、「上に動いたほうが元気な感じがする」ということで、なかなか思い通りに動かなかった部分を苦労して調整したと話してくれました。

本番直前まで調整を重ねていた「みおぞう」は女の子らしいかわいいアイデアが満載でした。

本番直前まで調整を重ねていた「みおぞう」は女の子らしいかわいいアイデアが満載でした。

優秀賞 「逆立ちロボット東京2020」

樋口陽士さん(大阪府・小学4年生)

ロボットを逆立ちさせるというユニークなアイデアに注目が集まりましたが、実は失敗から生まれた作品だったことを話してくれました。「最初にワニロボットを作ろうとしたらうまくいかなかった。手の部分が逆立ちしてしまったことから、自分の好きな体操の”逆立ち“をするロボットにした」という柔軟な発想が高く評価されました。「うまく逆立ちできるまで何回も失敗したので、手の角度などを調整して工夫した」ということです。

自身の体操の経験を活かし、衣装や金メダルなど、細かいデザインにもこだわった作品に仕上がっています。

自身の体操の経験を活かし、衣装や金メダルなど、細かいデザインにもこだわった作品に仕上がっています。

優秀賞 「embot makes you fun !!!」
「なんでもっくん」

鳥越優希さん(福岡県・小学3年生)

一人で2作品も応募したうえ、プレゼンのスライドを作成し、さらに流ちょうな英語でプレゼンを行った小学3年生の鳥越さん。
「embot makes you fun !!!」は、大好きなガチャガチャをテーマに、embotのパッケージ用のダンボールを使い、3Dプリンターで作った飾りなどを付けて、見た目も楽しいガチャガチャマシンに仕上げました。「なんでもっくん」は、当初は線を書けるロボットを目指したもののうまくいかなかったため、色々な試行錯誤を経て、ゴミを片付けるためのお掃除ロボットにしたと話してくれました。

「1歳の時からレゴを始めた」という鳥越さん。最年少での参加ながら、堂々としたプレゼンを行いました。ガチャガチャの楽しさが詰まった「embot makes you fun !!!」(写真上)と、焼きそばをあおぐユニークな応募動画も好評だった「なんでもっくん」。

「1歳の時からレゴを始めた」という鳥越さん。最年少での参加ながら、堂々としたプレゼンを行いました。
ガチャガチャの楽しさが詰まった「embot makes you fun !!!」(写真上)と、焼きそばをあおぐユニークな応募動画も好評だった「なんでもっくん」。

embot開発メンバーも絶賛した
アイデアあふれる作品

「初期embot開発メンバー賞」は、その名の通り、embotの初期開発メンバーである脇阪洋平氏などが選んだ3作品を表彰しました。
いずれも独創性あふれるアイデアのすばらしい作品ばかりでした。

初期embot開発メンバー賞 「燃える鍛冶師」TT兄弟

高垣俊佑さん、辻本徹平さん(大阪府・小学6年生)

ノリのよい音楽をバックに登場した男子2人組は、こだわりの詰まった刀鍛冶のロボットを披露。
「燃える鍛冶師」は、テレビで鍛治師の仕事をみて、「最後は人間の手でやる という紹介を見て、ロボットの方がよいのではという発想から生まれた作品です。YouTubeで鍛治師の動画をみて、リアルな動きを研究したというだけあり、細部の作り込みにもこだわりが詰まっていました。

兄弟のように仲の良い幼馴染が力を合わせて作りました。

兄弟のように仲の良い幼馴染が力を合わせて作りました。

初期embot開発メンバー賞 「チョウチンアンコウ」

末永琉惺さん(東京都・小学6年生)

完成度の高さで、ひときわ目をひいていた「チョウチンアンコウ」は、「LEDの光をみて、チョウチンアンコウに似ていると思った」ところから始まったそうです。
手先の器用さを生かし、ダンボールの特性を使って繰り込みと折り目を入れ、チョウチンアンコウの形を表現しました。ロボット本体だけでなく、青い土台の上に黒い紙を丸めて深海を表現するなど、デザイン性の高さも評価されました。

優秀賞の澪璃さんは妹で、制作に関して色々とアドバイスをしてあげたそうです。

優秀賞の澪璃さんは妹で、制作に関して色々とアドバイスをしてあげたそうです。

初期embot開発メンバー賞
「動く!歌う!“スーパーシャチ”」

小関飛翔さん(東京都・小学4年生)

「前につくった『ブタのそうじき』をパワーアップさせて、大好きなシャチにしました!」という「スーパーシャチ」ロボットは、前に進んだりするほか、食べる、海の歌を歌うという3種類のモードを搭載しています。
外観も黒と白の紙でシャチらしさを出し、シャチ愛あふれる作品に仕上がっています。

随所に工夫を凝らし、進む速さも変えられるというスーパーシャチ。

随所に工夫を凝らし、進む速さも変えられるというスーパーシャチ。

「大好き」を形にしたロボットたち

そして審査員特別賞には、5作品が選ばれました。
額田氏から、一人一人に賞状が手渡されると、照れつつも誇らしげに賞状を受け取っている姿が印象的でした。

審査員特別賞 「我王」スーパーファイトチーム

深澤里駆さん、深澤美玖さん(長野県・小学5年生)

ワークショップなどでembotを体験したというスーパーファイトチームの深澤さんは、なんと「我王」で3作目とのことで、折り紙などを使い、ドラゴンらしさを出す工夫をしたことを話してくれました。
最初のバージョンから改良を凝らし、特に翼の部分は模様に凝るなどの作り込みが審査員からも「見違えるほどよくなった」と評価を受けていました。

ドラゴンらしい大きくて優美な翼にも注目!

ドラゴンらしい大きくて優美な翼にも注目!

審査員特別賞 「かわいいゆめ見るユニコーン」

武田友喜さん(東京都・小学3年生)

女の子らしいセンスが光る、かわいらしいユニコーンのロボット。リボンにビーズ、レースのはね、モールのしっぽまで、細部までかわいらしさにこだわり、工作を楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。プログラミングも、「犬が首をふる動作がかわいいので、ユニコーンも首やしっぽをふるようにした」とのことです。

大好きなものがギュっと詰まったユニコーンになりました。

大好きなものがギュっと詰まったユニコーンになりました。

審査員特別賞 「きんきゅう車両、あつまれ!」
ひがこまPCクラブ

池田達也さん、永嶋良仁さん、宮坂優雅さん(東京都・小学5年生)

小学校のクラブ活動でプログラミングに初挑戦した5年生の3人組「ひがこまクラブ」は、着せ替えのできる緊急車両のロボットを発表しました。「この形で、色々なものができそう」という通り、アイデア次第で様々な着せ替えができる拡張性も高ポイントです。embotは、個人だけでなくチームでも楽しく制作にチャレンジできることを感じさせてくれる作品でした。

好きな乗り物のロボットをつくることで、モチベーションもアップしそうです。

好きな乗り物のロボットをつくることで、モチベーションもアップしそうです。

審査員特別賞 「首振り恐竜」「勇者」
瀬川きょうだい

瀬川遊さん(大阪府・小学3年生)

今回は小学3年生のファイナリストが2組参加しました。そのうちの1組が双子の瀬川きょうだいです。
緊張しながらも、仲良く2人で一生懸命発表してくれました。遊さんは、お互いに戦えるように、恐竜と勇者のロボットをつくったそうです。LEDのライトを生かし、恐竜の目が光るようにするなど、細かいところまで工夫して作り上げています。

embotを大胆にカスタマイズして作り上げた恐竜と、対照的な勇者。

embotを大胆にカスタマイズして作り上げた恐竜と、対照的な勇者。

審査員特別賞 「おはようかっこう」瀬川きょうだい

瀬川裕楓さん(大阪府・小学3年生)

かわいいものが好きで「動物や赤ちゃんとすぐ仲良くなれます」という瀬川きょうだいの裕楓さんは、かわいらしいカッコウのロボットを披露してくれました。
「『カッコウ』の曲をつくりたかったから、曲にあわせて鳥のロボットにした」という発想がユニークです。
ロボットの使い道として、「朝の目覚ましにしたい」と話してくれました。

瀬川きょうだいの裕楓さんは、かわいらしいカッコウのロボットを披露してくれました。

子ども達のアイデアに上限はない

各賞の賞状のほか、コンテストに参加した全員に「embotクリエーター認定証」が贈られました。

各賞の賞状のほか、コンテストに参加した全員に「embotクリエーター認定証」が贈られました。

審査員の一人、NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長の原尚史氏は、「どれもすばらしく、審査に時間がかかった」としながら、「アイデアを形にする段階で失敗を経験しつつ、何度も形を変え最後までやりとげたこと、『大人やテレビではこう言っていたけれど、僕はこう思った』というチャレンジ、自分の好きなことや考えたことからスタートしていること」という3点を挙げ、コンテスト参加者の取り組みを「みんな本当にすばらしいし、ぜひ続けてほしい」と熱く語りました。

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長 原尚史氏。

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 担当部長 原尚史氏。

また、embot初期開発メンバーである脇阪洋平氏は、「はじめのembotの開発からちょうど5年目にあたる2019年に、このようなコンテストが行われ審査に参加できたことは非常に感慨深いです。子ども達の楽しそうな笑顔が心に響きました。『楽しい』ということは、何よりも重要なポイントです。子ども達のアイデアは大人の想像を簡単に超えます。
子ども達のアイデアに上限をつけてしまわないようにサポートが必要です。プログラミングが好きな子は、どんどん突き抜けてほしいと思います。そして、私たちはそういった環境を提供することが大事だと感じました」と総評にくわえ、今回の感想を話してくれました。

額田氏とともにembotをつくった初期開発メンバーの一人、エンジニアの脇阪洋平氏。

額田氏とともにembotをつくった初期開発メンバーの一人、エンジニアの脇阪洋平氏。

アイデアに年齢は関係ないことを実感

今回の最終審査会ではファイナリストによる発表や審査だけでなく、参加者同士、そして家族との交流なども行われました。子どものつきそいとして参加した保護者にとっても、全国の子ども達のアイデアあふれる作品を見ることは、新しい気付きがあったようです。

最終審査会の前に、embot研究開発スペシャリストチームとランチをしながらお話ができる「welcomeレセプション」や、embotワークショップなども行われました。

最終審査会の前に、embot研究開発スペシャリストチームとランチをしながらお話ができる「welcomeレセプション」や、embotワークショップなども行われました。

保護者からは「このような大勢の前で発表する機会はなかなかない。発表はたどたどしかったけれど、子どもにとってとても良い経験になったと思う」といった感想が寄せられました。

審査を終えて、額田氏は、「想定していた以上のすごい作品が集まったことは、とてもうれしいです。embotは元々アイデアを自由に形にするために開発したものです。今回のコンテストをふまえて、今後はよりよいembotをつくっていきたいと思います」と、今後の開発への意欲を語りました。

額田氏(写真左)と、初期embot開発メンバー賞を受賞した小学生達。

額田氏(写真左)と、初期embot開発メンバー賞を受賞した小学生達。

最後に、一般社団法人GPリーグの代表理事である武藤裕介氏から。「『embotアイデアコンテスト』は、プログラミングのスキルやスピードを競う『プログラミングコロシアム』とは異なる方向性で、最初に自分だけのイメージやアイデアを手掛かりに、時間をかけ工夫を凝らしてつくっている。今回の作品を見ても、どれひとつとして同じようなものがない「ユニークなアイデア」が寄せられました。このようなコンテストを開催できたことは本当によかったと思います」と、締めくくりました。

今後も、embotでは様々なワークショップやイベントなどを通じて、沢山の子ども達に「デジタルのものづくり」の機会を提供していきます。ぜひ、ご家庭や学校などで、ロボットを自分でつくり動かす楽しさを体験してみてほしいと思います。